普天間基地訴訟で賠償命令判決が出ました

今日、那覇地方裁判所沖縄支部で、普天間基地周辺住民約2200人が原告となって騒音被害を訴えていた裁判で、国に対して総額約7億5000万円の賠償を命じる判決が出ました。

賠償が認められたのは良かったのですが、問題点もありそうです。
ひとつは、夜間・早朝の騒音差し止めを求めていなかったので、この点についての判断がなかったことです。
もうひとつは、賠償額の後退です。
第1次普天間爆音訴訟では、75W地域の住民には日額200円、80W地域の住民には日額400円の賠償が認められていました。これは横田を含む他の基地訴訟の2倍の水準でした。
しかし、今日の判決では75Wで日額150円、80Wで日額300円と、25%減額されました。普天間だけが高すぎる、という理屈なのでしょうけれど、こういうものを低い方に合わせるという発想は、基地周辺住民の負担を分かっていないなと思わざるを得ません。

ちなみに、私たちと同じ「全国基地爆音訴訟原告団連絡会議」に参加している第2次普天間基地爆音訴訟(第2次普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団)は、夜間・早朝の騒音差し止めも含めて審理が継続しています。何とか巻き返してもらいたいところです。

そういえば、菅官房長官は、記者会見で今日の判決にふれて、「国の主張について裁判所の十分な理解が得られなかった思っている」という考えを示したそうです。基地騒音被害は裁判所で繰り返し繰り返し認定されてきたものですので、国がやるべきことは、もはや裁判所の理解を得ようということではなく、全国の基地の被害軽減策や被害補償を徹底することだと思うのですがね。

第40回公害被害者総行動デーに参加してきました

今日と明日は第40回公害被害者総行動デーで、第1日目の今日は、全国の公害被害者とともに、環境大臣交渉、省庁交渉、総決起集会などに参加してきました。

私たち第2次新横田基地公害訴訟原告団など、全国の基地空港爆音訴訟のグループは、防衛省、外務省、環境省の3省に分かれて交渉に臨みました。

私が参加したのは外務省。
ところが、どういう手違いか、外務省の正門まで行ったところ、「お約束がない」という理由で門番に止められてしまいました。
交渉申入れをした経緯などを確認したところ、私たち交渉団側からの連絡は入っていたものの、外務省側の担当者が決まっておらず、その折り返しがないまま今日に至ったということのようでした。

<国を代表する外交交渉の窓口が、この体たらく?>

交渉団には遠く沖縄や岩国からも参加しているので、私たちもこのままスゴスゴと帰るわけにはいきません。しばらく押し問答が続きましたが、予定時刻から30分ほど遅れたものの、どうにか部屋を用意してもらうことができまして、要請書の交付、各地の住民からの個別要請などを行うことができました。

多少行き違いはありましたが、私たちとしては何も国や外務省をやっつけようというのではなく、国民や被害住民の立場から仕事をしてもらいたいという要請に行ったのですから、まずは要請書を受け取ってもらえたのはホッとしました。

また改めて要請事項の回答を聞きに行きたいと思います。

写真は、日比谷公会堂で行われた総決起集会の一コマです。

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オスプレイ配備反対の要請に行ってきました

5月15日に弁護団との連名で、横田基地へのオスプレイ配備反対の声明を発表しましたが、今日、この声明を持って、東京都、防衛省、外務省の3か所に要請に行ってきました。

ちょうど東京都庁にいるときに強い地震がありまして、庁内に緊急地震速報が鳴り渡りましたが、要請自体は滞りなく進みました。東京都としても地元住民の生活への最大限の配慮を求め、国に対して十分な説明責任を求めていくという回答を得ました。

東京都とは真反対の対応だったのが防衛省です。防衛省には、あらかじめ要請に伺いたいと申入れをしていたにもかかわらず、正門前で担当官1名が声明を受け取っただけで、中にも入れてもらえませんでした。文字どおりの門前払いです。
ハワイでのオスプレイ墜落事故の直後でもあったので、「あまり追及されたくない」というのが本音ではなかったでしょうか。

外務省では、応接室に通されて、1時間近く要請を行いました。
しかし、外務省の基本姿勢は、「アジア太平洋地域の安全保障環境の変化に対して、防衛力の整備は重要であり、横田基地へのオスプレイ配備もその一環」というもので、やはり私たち住民の被害については二の次になっているという印象でした。
基地周辺対策は外務省ではなく防衛省の所管事項、というお役所思考なのでしょうが、基地提供に関する担当部署は日米地位協定を担当している外務省ですから、国民・基地周辺住民の立場で働いてもらわなければ困ります。

MV22オスプレイ墜落事故

ハワイ・オアフ島にあるベローズ空軍基地で、MV22オスプレイが着陸に失敗して炎上する事故が発生しました。少なくとも1名の海兵隊員が亡くなっているようです。

横田基地へのCV22オスプレイの配備が発表された直後に、まさかこのような事故が起こるとは、全く驚きです。もちろん事故そのものは想定外で起こるものですが、防衛省幹部の誰かなどは「タイミングが悪い」という趣旨の発言をしたそうで、不見識とはこのことです。

沖縄県名護市辺野古の新基地は、MV22オスプレイが配備されている普天間基地の移転先とされ、世界一危険な基地とされる普天間の危険除去が移転理由の一つとされていますから、それなら住宅密集地にある横田基地にCV22オスプレイを配備すると危険が増大することは否定できないはずです。

オスプレイは旧型のヘリコプターより事故率が低いということも言われていますが、安全神話で守られていた原子力発電所でさえ爆発事故を起こしました。事故の規模が違うかも知れませんが、当事者にとっては自分が被害を受けるか否かの問題で、そこに違いはありません。

基地周辺で暮らす私たちにとって、事故の確率を説明されてもなぐさめにもなりません。

第四次厚木基地爆音訴訟 控訴審結審

本日午後1時30分より、東京高等裁判所101号法廷で、第四次厚木基地爆音訴訟控訴審の最終弁論期日が開かれました。審理終結なので、「結審」という言い方をします。

今日の法廷では、原告3名と弁護団5名が意見陳述、最終準備書面の要旨の陳述を行い、国側も自衛隊機の差止問題について陳述をしました。国側が最終弁論を口頭ですることは滅多にありませんから、よほど横浜地裁の自衛隊機差止判決は認めがたいのでしょう。事実、横浜地裁判決後も自衛隊機の夜間飛行はなくなっていないそうです。

ご存知のとおり、厚木基地爆音訴訟は、昨年5月21日に横浜地方裁判所で自衛隊機の夜間差止を含む勝訴判決を獲得しました。それからわずか1年足らずで控訴審が結審を迎えるのは、異例の早さといっていいでしょう。

審理を担当した東京高裁第21民事部の齋藤隆裁判長が今年8月早々に定年退官となるため、審理を急いでいたのではないかという見方もあったようです。 その予想が当たったのかどうか、今日の法廷で判決言渡し期日も指定されました。

7月30日午前10時が判決期日です。

横浜地裁判決よりもさらに踏み込んだ判決を期待しましょう。