[静かな空をもとめて] 第2次新横田基地公害訴訟原告団

控訴審判決を受けての声明

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控訴審判決を受けての声明

2019.06.06

声 明

2019年6月6日

第2次新横田基地公害訴訟 原告団
団長代行 中島利美
第2次新横田基地公害訴訟 弁護団
団長 関島保雄

 本日、東京高等裁判所第21民事部(中西茂裁判長)において、第2次新横田基地公害訴訟の控訴審判決が言い渡された。
 第2次新横田基地公害訴訟は、1000名余の横田基地周辺住民が、国を被告として、横田基地を離着陸する米軍機及び自衛隊機の夜7時から朝7時までの飛行差止めと損害賠償を求めて提訴したものである。
 本日の控訴審判決は、WECPNL(以下「W値」という)75以上の地域に居住する原告について損害賠償を国に命じる一方で、米軍機等の飛行差止めや将来にわたる損害賠償請求(将来請求)、W値75未満とされた地域に居住している原告の損害賠償請求を退けた。
 本判決は、昨年正式配備されたCV-22オスプレイによる被害の増大や、低周波音が物的・身体的影響を与えている事実を認め、国による大規模な調査を行い対策を講じることが望ましいとまで述べた。そして、W値75以上の地域において、米軍機等により受忍限度を超える違法な騒音被害が広範囲にわたって生じていることを改めて認定した。また、賠償額について、原告の被害からすれば未だ十分な水準とはいえないものの、横田基地に関する従来の最高裁判決から増額した原判決を維持した点は一定の評価はできるものである。
 しかし他方で、本判決は、一審判決を無批判に踏襲し、飛行差し止め及び将来請求、W値75未満とされた地域の原告の損害賠償についてこれを認めなかった。本判決がW値75未満として損害賠償を認めなかった地域は、2005年の騒音コンターの見直し以前はW値75以上の地域とされていた。現在も被害の実態は2005年以前と変わらず、しかも国の定めた環境基準(W値70)以上の騒音被害を受けていることが明らかであるにもかかわらず、本判決の判断は、その被害を過小評価したものであり極めて不当である。さらに、本判決は、飛行差し止め請求にこめられた、せめて静かに眠れる夜と家族の団らん・休息の時間を確保したいという原告らのささやかな願い、百歩譲って飛行差し止めを認めないのであれば、何度も裁判を起こさずとも被害救済をしてほしいという将来請求にこめられた原告らの切実な願いのいずれにも応えなかった。1981年の旧横田基地訴訟の一審判決以降、全ての判決において、横田基地周辺に違法な騒音被害が生じていることは一貫して認定されてきた。にもかかわらず将来請求すら認めないことは、違法状態が継続してきた事実から目を背けることであり、被害救済を図るという司法の役割を放棄したものと言わなければならない。
 私たちは1年余の控訴審の期間で原告団長及び事務局長を病によって失った。今回の裁判提訴後に亡くなった原告も少なくない。騒音被害のない当たり前の生活をしたい、子どもや孫の世代にまで被害を引き継ぎたくないというごく当然の願いを実現するために、人生のうちの多くの時間と労力を裁判に費やさなければならず、しかも何十年たっても未だにそれが実現していないという「法治国家日本」の現状に憤りを禁じ得ない。第2次新横田基地公害訴訟原告団・弁護団は、「静かな空」を取り戻す日まで、今後も全力を挙げて闘い続けていく決意である。

以上

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